ハファエル・メンデスの活躍によって一気に広まった50/50ガードなんだけど、個人的には未だにルールの面で釈然としていない。だって内ヒールに限りなく近いし。近いっつーか、ほぼもうカタチはそうでしょ?なんでヒザへの外掛けはダメで内掛けはアリなのさ。内掛けの方がアブないって意見もあるし、全くもって50/50の容認には疑問符が付きっぱなし。ただ強調しておくのはオレとしては「アブないから50/50やめようよ」ってことでは無いってこと。むしろ逆で、柔術ルールにおける"足関アレルギー、外掛け禁止(もっと言うとヒール禁止)"っていうのを、50/50の隆盛を気に見直しませんか?ってのが個人的な意見。
柔術で外掛けが反則/昇帯しないと足関が制限、となっていることの理由としては主に以下の2つが言われてると思う。
1、外掛けはヒザを捻って簡単にブッ壊す危険な技だからダメ
2、実戦(つまりはVT)では足関は危険だからダメ
(足関にいくくらいならパスしてポジションとりなさい、の意)
でもね、どちらも理由として弱いと思うんですよ。
まず1だけど、基本的に危なくない関節技なんて無いでしょ。腕十字だって、手首固めだって十分に危険な技ということは、自分は試合を通し、身をもって知っているw。3年前のクリスマスに極められた右ヒジは未だに完治せず、まっすぐに伸ばせるようになったのは今年になってからだったりする。腕十字でも何でも、基本的にスパーで技の形に入ったら、かけてる方はそれ以上に極めにいかないし、かけられた方は早めにタップするでしょ。外掛けでも同じだと思うんだけどな。おそらく外掛けの足関節を普段の練習から解禁していると思われる道場で、ヒザの故障者が続出、なんてことは無いでしょ。
次に2。確かに足関節にいったときにパウンドのラッシュを喰らうことはある。例えばヨアキム戦のルミナ、マスヴィダル戦の北岡、記憶に新しいところでは弁慶戦のサク。でもそれで極めてしまうケースも同じようにあるわけで、何より前述の3試合のうち、桜庭に至っては最終的にそのまま極めきって試合には勝った。(殴られまくって結局、大晦日は出てこなかったのもまた事実だけど。)
アルバレス戦の青木、五味戦の北岡のように早々に試合を決めてしまうこともあるし、今成も今をときめく鬼神マイクから超エグい足関でキッチリとっている。極まってしまえば動くこともままならない程のダメージを与えることも可能なワケで「実戦では使えない」なんてことは決してなく、有効な攻撃方法の1つとして武器にしておくべき/早いウチから使えるようにしておくべき技術だと思う。
(よくよく考えると、実戦での有効性が疑問視されるから反則にするって、ちょっとオカしいよな。この2に関しては自分の思いすごしかもしれない。反則にする理由になってないもんな。「まずはパスすることを考えるべき」ってのはもちろん柔術の発想としては大事だとは思うけれど、だからって反則ってのは少し違う)
で、柔術では最初から足関節の外掛けが制限されていたのかっていうとそうでもないらしい。
足関節を得意とした柔術一派として有名なスブービオ柔術。コンデ・コマに手ほどきを受けたルイージ・フランサ・フィリョの弟子、オズワルド・ファダがリオよりも北側の地域「スブービオ」に開いた数々の道場、それがスブービオ柔術一派なんだけど、ここは足関節で名を上げていた。
スブービオ柔術で足関節が発達した理由は単にファダが得意としていたから、という単純な理由みたい。今のように動画で技術が広まる時代じゃないから、指導者の個性がスタイルに色濃く出ていた結果なんだと思う。
ただ、スブービオ柔術はかなり迫害を受けていたらしい。足関節で勝ちまくったから、じゃなくって北側の貧しい地域の出身だからってのが主な理由の模様。基本的にこの頃のグレイシー系の柔術家ってのは比較的裕福な家庭ばっかりだったらしい。人種差別は無い、なんて言われることもあるブラジルだけど、貧富の差別が無かったワケじゃない。
柔術で外掛けが禁止になってるのはスブービオが得意としたから、つまり貧しい人達が得意な技だったから、ってのがたぶん大きな理由なんだと思う。危険性とかそんなのは後付けで。
この説を考えるようになったのは今は亡きスペシャルな組み技雑誌、Gong Grappleを読んでからで、不勉強な点が多いことは自覚しながらも結構確信している。だってエリオたちってガンガンと実戦の方へ向かっていった人なワケでしょ?だったら、「アブないから外掛けはダメ」なんて言うわけないと思うし、身内からそんな意見が出てもつぶすと思う。Gong Grappleを読む限りだと、スブービオ柔術の強豪、ジュリオ・セザールがホブソンからかなり「そんな技使うんじゃない」とかかなり言われてたみたい。ジナスティカ・ナチュラルでおなじみのアウバロ・ホマーノを足関で秒殺したのが決定的だったらしく、後にホブソンは医者を連れてきて足関の危険性を説明させてルールで禁止にしたらしい。
(もっともホマーノの師匠にあたるヒクソンは足関の禁止に反対してたらしいけど)
(※ジュリオ・セザール自身「スブービオが得意としていたから一部の人間は足関が気に入らないんだよ」 って言ってる)
自分の唱えるこの説が、ホンの少しでも該当していたとしたら、差別が発祥となってルールで禁止になっているのだとしたら、とても虚しい話だと思う。「すぐに解禁を」とは言わないけど、見直してもいいんじゃないか。アブダビをはじめとする柔術ルール以外の組み技競技も多数行われている中で、外掛け禁止にこだわる理由なんかないんじゃないだろうか。50/50の登場がスブービオの怨念にも思える。
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6 件のコメント:
50/50は確か内ヒールですよね
個人的には膝十字を帯色関係なしで解禁していただきたい
膠着も少なくなって動く試合になるし
そうなったらロシアのウルトラマンを目指しますw
コピィロフおじさんですねw
ヒザ十字もそうだし、アンクルもヒザ固め等の筋肉潰し系も解禁していいと思ってます。帯色でルールが区分けされているのは上記の「理由2」によるものなんだとヤッパリ思いますが、それってルールで制限することではないと思うんです。ファイトスタイルの問題だと思うんで。
危険だというのなら、まず最初にディフェンスから徹底させるとか、やり方はいくらでもあると思うんですよね。
私は外掛け解禁、ヒール禁止派です。
実例としては初期のパンクラスでヒールが流行ってけが人が続出してしまって禁止したと船木がどこかで語っていました。
普通の関節技は
痛いポイント<壊れるポイント
なのですが、ヒールは逆なんですよね。
我慢できると思って我慢していると、翌朝歩けなくなるくらいダメージが残ります(経験者です)。だからある意味危険な技です。練習でもこれですから、大会では皆我慢するので、けが人が続出すると思います。
コメントありがとうございます。
私が普段練習しているのはピュア柔術なので、ヒールどころか、足関そのものに対しての知識が圧倒的に不足しているため経験者の方の意見はとても参考になります。
私のような"草柔術"愛好家にしてみれば、あくまでも趣味なんだから、実生活に支障が出る危険性の高い技を使う必要はないのかもしれません。確かに試合だとどうしても無理しまうからさらにアブナイでしょう。
しかしそれでも、ってのが私の思いなんですね。
(・・・やっぱこの話は長くなるなw。1コだけ)
理由のひとつには私がヒールについてほとんど何も知らない、というのがあると思うんです。こんなに知らなくていいのか?ってくらいワカンナイので。
だから、ある程度知識ついたら「あー、こりゃダメだ。禁止禁止!!」ってなる可能性もw、あるにはあるんですが。
でもなあ。"護身術"を謳う柔術がヒールを使わない、ってのはちょっと違うと思ってます。危険は承知ですけど。個人的には普段の練習から、バスター/スラム対策も考えるようにしないといけないなって思ってまして、スパーの中では、まあ実際には叩きつけなくても、ちょっと入れてった方がいいんじゃないかなあって思ってます。
長くなりました。
それにしましても、やっぱここは"外掛け"ブログですなあ。
私も柔術の道場で練習していますが、外掛けは全く気にせず使いまくってます。ヒールは仲のよい人にだけ使います。彼らとは以前「ヒールありでいい?」と確認をとっています。
いきなりなんの了解も得ずにヒールしかけてくる人もいます。
私がいっているところは柔術道場なのに「知っておいた方がいいから」ということで、ビギナークラスからヒールホールドを教ています。グラップリングクラスでは当然やりますが、柔術クラスでも教えているのです。
私は速攻でタップするようにしているのでダメージは残りません(過去に苦い経験があるので)。
ヒールはすぐかかるので楽しいですよ。もし街で危ない目にあったら使いまくると思います。
私の感覚もネラズリさんと同じです。危ないからやらないというのは話が違いますよね。大会では禁止しても練習ではバンバン使ってもいいと思うのですが・・・
>私がいっているところは柔術道場なのに「知っておいた方がいいから」
>ということで、ビギナークラスからヒールホールドを教ています。
>グラップリングクラスでは当然やりますが、柔術クラスでも教えているのです。
いいですね。「知っておいた方がいい」っていうのすごく理想的です。
>危ないからやらないというのは話が違いますよね。
>大会では禁止しても練習ではバンバン使ってもいいと思うのですが・・・
ですよね。ルールで認められていなくても練習しておくべき技、ってのが今の私の気持ちです。
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